朝食は食べるべき?抜くべき?
暖かくなってきたと思ったらまた寒くなったりと気温の変化が激しく体調を崩しやすい時期ですね。
着るものもなかなか迷いがちな気候で困ってしまいますね。しかし、桜の開花なども発表され、この寒さもあと一息といったところでしょうか?
さて、先日、患者様に朝食のあり方について質問いただいたのでその内容を紹介いたします。
「胃腸のためにも朝は食事を抜いたほうがいい」という話を聞いたのですが・・・といった質問でした。
インターネットの普及でいろんな情報が簡単に手に入る時代ですが、その中でもこの手の健康に関する情報は特に多く発信されているような気がします。
そしてこの健康法には賛否どちらの意見も多く飛び交っています。
私の見解は「食べても食べなくてもいい」です。(ちなみに私は料理旅館にでも行かない限り食べません)
食べなくてもいい理由から述べていきましょう。
少し昔の人間の食生活は、朝、一仕事終えてから朝食を取るというものが普通でした。(朝飯前という言葉の語源・朝食の前に行う軽度の仕事→簡単な作業)
朝の仕事のあと、10時頃に朝食を摂り、1日仕事をして日が沈む前に夕食を摂る、1日2食のスタイルが江戸時代以前は普通で、現在の1日3食のスタイルは明治維新前後と言われています。
日本だけでなく欧米でもそうでした。欧米で朝食を摂り始めたのはエジソンがきっかけだったと言われています。
新聞記者の
「どうしてあなたはそんなに素晴らしい発明を次々と考えられるのか?」
という質問にエジソンが
「1日3食食べているからだ。朝起きてトーストを食べるといい」
と答えてからだと言われています(諸説有り)
この時、エジソンはトースターを開発してすぐの頃。売れ行きも芳しくなかったのですが、この新聞が発行されてからバカ売れしました。
このように、以前は1日2食で普通にやってこれたのです。
では、朝食を抜くと何がいいのか?ということも述べていきましょう。
朝目覚めてすぐは実は内蔵も目覚めてすぐなので、消化・吸収の能力は通常に比べてやや弱い状態です。
ですから、通常より消化・吸収にかかる時間やエネルギーを多く費やすことになります。
東洋医学的な言い方をすると、胃腸などの消化器官に気血を多く費やすことになり、その分、脳や筋肉を巡る気血は疎かになりやすく、脳の働きや動きのキレが鈍くなりやすくなってしまいます。
少しお腹が減った状態の方が身体も脳もキレます。
野生の動物を見てください。ライオンやチーター等の肉食獣は「お腹が減った」から狩りをします。腹が減っても戦はできるのです。
狩りの前に腹ごしらえしている野生動物を見たことがありますか?私はありません。
でも!と、ここで反論がありそうなことにも先にお答えしておきましょう。
「学生時代、部活中に朝食を抜いた日に貧血で倒れた!」
とか反論がありそうです。というか、実際に反論されたことがあります。
「朝食を抜いた。」ということは普段は朝食を食べていたのでしょう。
では、やはり朝食は食べたほうがいいのでしょうか?
実は、朝食を抜いたのが倒れた本当の原因とは限りません。
私は基本的にこう聞き返しています。
「その時、朝食を抜いたんですか?食べられなかったんですか?」
「あー、食べられなかったの方が正しいかも・・・。寝坊してしまって・・・。」
学生時代に朝食を抜く、あるいは食べれない原因は大方「前夜の夜ふかしのせいで寝坊した」と相場が決まっています。
成長期の学生さんにとって、朝食を摂っていないことより、夜ふかしのせいで寝不足になっていることのほうが身体への負担は大きいです。
ちなみに、私は中学高校と陸上部で長距離や駅伝を専門としていて、長期休暇中の早朝自主練習で朝食前に20キロ走ったりしていましたが、空腹で倒れたことなんてありませんでした。
(※だからといってずーっと食べずに運動したら本当に倒れちゃうので、万が一に備えて運動中や運動後すぐに食べられる様な補給食の準備はしておいてくださいね)
さて、食べなくてもいいという理由ばかり述べてきましたが、私は最初に「どっちでもいい」としました。
ですので、食べてもいい理由と食べてもいい状態を述べていこうと思います。
朝食抜き健康法!と銘打っていたりしますが、逆に朝食を食べたぐらいで不健康になるか?というと私はそうは思いません。
結局、極論を書いたほうが売れるし興味を引きやすいですから、いかにも朝食を食べることが悪であるという様なネーミングであったり、朝食を摂ることが世界の正義であるような内容であったり・・・と、書き手しだいなところってあると思うんですよね笑。
朝食を食べて、多少の動きのキレの悪さや、脳の働きの鈍さが出ることはあっても、それは生理的に消化器官を働かせるための反応でしかありませんし、長年1日3食を続けている人にはそれが普通の状態になってしまっているかもしれません。だったら気にすることもないよね?というのが私の意見です。
キレの悪さを通り越しダルくて身体を動かす気にならない。とか、脳の働きが鈍いを通り越して眠ってしまう位働かない。とか、日常生活に影響が出るほどのことがあれば朝食の量を減すか無しにする必要があるかもしれませんが、そうでなければ問題はないと思います。
朝食のタイミングで「お腹が減っている」且つ「起きてから朝食の時間までに排便が済んでいる」状態であれば朝食はむしろしっかりとっていただいた方が良いかもしれません。
また、胃腸に負担が少ない食べ方も大事です。
食べる順番が胃腸への負担の鍵になります。
まずは汁物を食べることです。汁物がなければ白湯でもOKです!
そして次に野菜を食べます。
その後はご自由に食べていただいて大丈夫です。
もう一度結論を述べます。「食べても食べなくてもいい」です。メリットもデメリットも知った上で食べる、食べないの選択をしてくださいね!
人それぞれ、その時の体調、食べたあとの反応、によって変えることが大切だと思います。
人間はそれぞれが違う生活習慣や考え方やリズムを持った生き物ですから、誰にでも合う健康法は無いと思いますし、同じ人でもその時の体調で選ぶべき健康法も変わります。
決して一辺倒にならず、自らの体調をよく観察し、また、身体の声をよく聞き、柔軟に健康法を取捨選択していくことが本当に正しい養生ではないでしょうか。