気という言葉の意味
初診の患者様に「気」という言葉を使うと大抵の場合いかがわしい顔をされてしまいます。
時々、逆に期待に目を輝かせてくださる患者様もおられますが・・・
東洋医学独特の「気」という言葉、さらには「邪気」という言葉について今日はご説明させていただきたいと思います。
当院に来院いただいた患者様には初診の時に説明させていただいているのですが、この独特な言葉についてはブログにも掲載しようと思います。
「気」という言葉を聞くとどんなイメージを思い浮かべますか?
不思議なパワーをイメージされる方が多いのではないでしょうか?
スピリチュアル的なものであったり
オカルト的なものであったり
オーラ的なものであったり
某少年漫画の影響で戦闘力を意味するものであったり・・・
「す・・・すげぇ気だ・・・」みたいな?
「はっ!!」とかいう掛け声とともに手を触れずに人を吹っ飛ばしたり・・・
時々テレビとかで見かけますよね。
気持ちだったり、精神力であったりのイメージもあるかもですね。
そんな訳で、「気」という言葉を聞くだけでいかがわしい印象を持たれてしまうこともあります。
では「邪気」の方はどんなイメージでしょう?
悪い奴の気配であったり
邪悪なパワーであったり
心霊スポットが放つ禍々しい雰囲気のようなものであったり・・・
なんせ、目に見えない悪いものというイメージを持つ方がほとんどなのではないでしょうか?
そういったものもあるにはあるのでしょうが、当院で使っている「気」や「邪気」という言葉の概念はこれらとは異なります。
「気」とは空気一般のことを指します。気体の気です。
拍子抜けでしょうか?笑。
東洋医学の医学書は何千年も前に書かれたものです。当時の人々は「酸素」とか「二酸化炭素」とか知らないわけです。そういう言葉がなかったのです。
なので、それらをまとめて「気」と呼んでいました。
地上は「気」に満ちています。空気がないと生物は生きていけません。
当然、我々人間も空気、「気」を吸うことで生きています。
呼吸で吸い込んだ「気」が肺に蓄えられ、肺胞内の毛細血管で「気」は血液中に入り血とともに体内をめぐります。
ヘモグロビンと酸素が結びついて血管内を巡り、体内の各所に酸素を届けていますよね。それと同じ感じです。
皮膚呼吸であったり、汗の蒸散作用であったりと体表にも人間が排出している「気」があります。
これが「気」です。
では、「邪気」は?というと「普通ではない空気」のことです。
「邪」という字は一般的に「悪い」と捉えられがちで、それ自体に間違いはないのですが、正確には「正しくない」とか「真っ直ぐでない」という意味が強いと言われています。
「気」の説明と同じになりますが、やはり、当時の人々は菌であったりウイルスであったりを知りませんでしたし、そう言う言葉もありませんでした。でも、恐らく、空気感染のような概念はあったのではないでしょうか。
また、ウイルスや菌を抜きにしても、換気をしていない部屋のこもった空気って体に悪そうではないですか?
それらを「邪気」と呼んでいたのです。
拍子抜けしちゃいますよね笑。
でも、不思議なパワーだとか、悪いものにとりつかれているとか言われるよりは理にかなっているんじゃないかな・・・と。
これらが当院で使う「気」「邪気」という言葉の意味で、「気って何?」という質問の答えです。