ステロイドで皮膚炎が治るという幻想
アトピーやアレルギーなど、皮膚炎の治療で塗布されるステロイド。
炎症を抑えるのにこれ程強力で即効性のあるものはなかなかありません。
しかし、「治療」という言葉にはいささか疑問を感じます。
炎症症状である痒みを抑えるのにステロイド程強力なものはないでしょう。
塗布すればたちどころに痒みは収まり、苦痛から解放されます。
でも、治癒はしていません。
だから薬の効果が切れると再び痒みに襲われます。
どういうことか?
ステロイドというものは
病気を「治す」為の薬ではなく
症状を「抑え込む」為の薬だからです。
以前の記事「鍼治療がカラダに効く仕組み」で紹介した、「顕在意識と潜在意識の乖離」に近いものがここでも起きています。
「治したい」体の潜在意識が引き起こす反応と「苦痛から解放されたい」という顕在意識が生み出す欲求の差。この差が「治す」ではなく「抑え込む」治療を安易に選択してしまう原因になりがちです。
身体は何らかの「サイン」として痒みなどの症状を出しています。
痒みは体が出しているSOSのサインなわけです。
そのSOSの原因は
自律神経の乱れかもしれませんし
ストレスに対しての反応かもしれません
腸内環境の乱れが原因かもしれません
免疫力の低下や暴走かもしれません
日常生活の些細な不養生の積み重ねかもしれません。
ステロイドはそんな体のサインに蓋をしてくれます。
だから症状は軽減されます。
でも、何の解決にもなっていません。
ステロイドの例え話で、皮膚炎を「火事」、ステロイドを「消火の道具」に例えて解説している記事を目にしたことがありますが、果たして本当の意味で火消しをしてくれているのでしょうか?
そんなことはありません、蓋をして見えなくしているだけです。火事は起き続けています。
もし、火消しができているのだとしても、皮膚炎という火事は最終結果であり、原因ではないのですから、目に見えた火だけを消しても原因の解決はできていません。だから火事はまた起きます。
「臭いものに蓋をする」という言葉がありますが、蓋をしただけだったらその原因である「臭いもの」は有り続けます。
原因の解決を先延ばしにしただけに過ぎないのです。
いえ、それどころか、「臭いもの」の発酵や変質が進んでより強烈な臭いを発するようになるかもしれませんよね?
臭いのもとをどうにかしない限り「臭いもの」は有り続けます。
ステロイドもそうです。
皮膚炎の原因は別にあります。それを取り除かない限り皮膚炎は何度でも起きます。
いや、皮膚炎で終わってる内はまだマシかもしれません。
原因を取り除かずにいると別の、もっとひどい病気に変化してしまうかもしれません。
薬の効果が切れるとより酷い痒みに襲われることもあるそうです。(患者様の体験談)
ステロイドによるリバウンドとか呼ばれたりします。
一部の皮膚科などでは否定されていますが、実際に患者様からこういう声が上がっているという事実があります。
そこにもステロイドを塗るみたいに蓋しちゃうつもりなんですかね?笑。
そんなことはできませんよね笑。
こういった体の反応以外にも、副作用や漸進的に効果の強いステロイドに依存しやすいことなど述べたいことはいろいろありますが、一番知っていただきたかったことは「抑え込む薬」であることと「結果として起きている反応であり原因ではない」ということの二点ですので、否定的な話はこのへんで。
ただし、ステロイドを全否定はしません。ここまで思いっきり否定してきましたが、要は使いかたや、これらのリスクを知った上で「どう使うか」が大切です。
「どうしても辛い時」、「痒すぎて何日もまともに眠れていない時」、「外せない仕事がある時」など、緊急措置として使う分にはとても優秀な薬だと思います。
薬のメリットとデメリットを知った上で上手に付き合っていくというのが大切だと思うのです。
「痒いからとりあえず」、と毎日塗布し、でも、生活環境や自分の養生を見直すことはせず、ただただ身体のサインを無視して、苦痛から逃避するためだけに薬を使う、という状況や思考が非常にまずいですし問題なわけです。
今回は何度も身体のサインという言葉を使いましたが、言い換えればこれも身体の声です。
身体の声と向き合い、対話し、身体は何を望み、何を求めているのか、どうすれば根本的な改善が認められるのか、ということを抑え込む前に一度考えてみてください。
ただし、身体の声の意味がわからない時は通訳が必要です。
通訳には専門的な知識を必要とする場合があります。
身体の声の意味がわからない時、その通訳は私たちにお任せ下さい!