その咳、本当に風邪?
気温が下がってきましたね。街を歩いているとマスク着用の方が多くなった気がします。
咳ごんでいる方も多いですよね。
今日は「咳」というものをこざくら鍼灸院ではどの様に考えているかをお伝えします。
咳と聞くとまず「風邪」をイメージする方が多いのではないでしょうか?
風邪の場合、ウイルス感染ですので、咳以外にも発熱や痰、くしゃみ、鼻水、倦怠感といった症状が出ます。
ウイルス感染であれば、一週間ほどしっかり休養と栄養を取り、免疫力を高めれば自分の免疫でウイルスをやっつけることができます。
しかし、鼻水もくしゃみもなく、単純に咳だけが止まらない。
熱やダルさはないのだけれど突然、発作のように咳が止まらなくなる。
喉のイガイガすらなく咳だけが出る。
といった咳の症状で苦しんでいる方をお見受けします。
こういった症状、実は風邪ではなく臓器からのSOSだったりします。
何点かありますので当院で多く見受けられるものをいくつか解説していきますね。
一つ目。外気温と室温の差で起こる咳があります。
寒くなると暖房を入れるご家庭がほとんどかと思います。
暖房は部屋の「空気」を温めます。
空気は温まると膨張します。
外気温と室温の差が大きすぎると肺の空気が急に温まり、膨張してしまいます。
肺の中で空気が膨張してしまうわけですから肺はパンパンに膨らんで容量オーバーしまいます。
すると身体は容量以上に膨張してしまった空気を外に押し出すために咳をします。咳をして容量オーバーを解消しようとするわけですね。
ですので、薬などを使って咳を止めるより、まず気温差を少なくしてあげなければなりません。
これが外気温と室温の差で起こる咳です。
二つ目。肝臓が原因で起こる咳があります。
咳と肝臓、つながりは薄そうに見えますが、実はこの咳、めっちゃ多いです。
寒さが増して来ると熱燗やお湯割りが美味しくなってきますね。この時期、忘年会やらで飲酒量が増えたりして肝臓に負担をかけることも増えるかもしれません。
最近ではマラソンがブームですので、この時期に一生懸命運動やトレーニングを行うのも実は肝臓には負担です。
寒くなるとキムチ鍋などの辛いものも美味しく感じますが、これらも度が過ぎると肝臓に負担になります。
イライラも貯まりすぎると肝臓に負担をかけます。
寝不足は肝臓の疲労回復の妨げになります。
理由は様々ですが、以上のような原因で肝臓の負担が大きくかかると肝臓が熱を持った状態になります。
肝臓は横隔膜で隔てられていますが肺のすぐ下に位置します。
熱は上に昇ります。
そのため、肝臓の熱は肺に移りやすい位置にあると言えます。
ここからは先ほどの気温差の話と似たことが起こります。
肝臓由来の熱が肺を温め、肺の中の空気が膨張し肺がパンパンになるとそれを吐き出そうとして咳になります。
ですので、この場合は咳を止めるより肝臓の負担を減してあげなければなりません。
咳止めを始め、多くの西洋薬は合成物で出来ているため、大なり小なり肝臓への負担があります。
お薬で咳を止めてしまう前にまず肝臓の負担を減らしてあげましょう。
三つ目。水枯れによる咳があります。
水枯れといっても水分の摂取量が少ないというわけではありません。
東洋医学では様々な体液の大本となる液体があるのですがその液体の不足により口や喉が乾きます。
季節的にも空気が乾燥しているので乾きに拍車がかかります。
この乾きのせいで咳が出ます。喘息にも近いようなゼラゼラした呼吸と乾いた咳が出ることが多いです。
この液体は腎臓が代謝しています。
ですので、腎臓の負担を減らさなければいけません。
暴飲暴食や塩分糖分の摂取量に気をつけなければいけません。
排尿の我慢も良くないですね。
様々な体液の元の液体ですので、みだりに発汗し発散するのも良くないでしょう。
寝不足も水枯れの要因になります。
これらの要因の改善をしなければ咳は治りません。
しかし、水枯れの咳の場合、発熱や喉の痛みなど、風邪の症状によく似た症状が出ますので、その判別が重要です。
水枯れの場合、乾燥の症状が喉以外にも出やすいです。皮膚や目、唇などの乾燥が強く出ることが多いと思います。便秘にもなりやすいかと思います。
また、ウイルス感染の風邪に比べ長引くことが多いです。
咳止めを飲めばとりあえず症状は落ち着くかもしれませんが、水枯れは深刻になれば怖い病気に発展することが多いです。
腎臓の代謝の問題なわけですから、腎臓の問題と言っても過言ではありません。
しっかり見極めてください。
もう一つ。これが最後。心臓の熱からくる咳です。
心臓はもともと臓器の中で一番熱の強い臓器です。
位置も肺のあいだに位置していますので、その熱も伝わりやすく、症状も強く出ることが多いです。
目の使い過ぎは心臓への負担がかなり大きいです。パソコンやスマホ、テレビ。生活から切り離しにくいものばかりですが心臓には負担です。
暴飲暴食、特に暴食は心臓の熱を高めます。
変に温めすぎるのも良くないですね。サウナからの冷水も実は心臓にはかなりの負担です。
また、運動もやりすぎは心臓に負担をかけます。
交感神経が優位になり続ける状態も実は心臓の熱を高めていることにほかなりません。
この時期ですと受験生の勉強による疲労とプレッシャーは心臓への負担も半端ないと思います。精神的な疲労も心臓の熱を高めることになります。
体を冷やすエネルギーの不足(陰虚)でも心臓の熱は高まってしまいます。
こういった場合の咳は夕方以降激しく出ることが多く、睡眠も妨害されがちです。
食べ過ぎたり、背中や胸が温もりすぎても激しい咳を伴うことがあります。
感情の昂ぶりでも咳込んでしまったりします。
これらは心臓の熱が高まったせいで起こる咳です。オーバーヒート寸前の結構危険な状態であると言えます。
裏を返すと、体の中のラジエターに当たる部分の冷やすエネルギーが切れた状態とも言えます。
単に咳を止めるより、その部分の改善が必須です。
オーバーヒート寸前の危険な状態なわけですから、早急な改善が必要です。
以上、様々な咳の紹介でした。
ただの咳と侮るなかれ、心臓や肝臓など、他の臓器のSOSとして起こっている咳もあります。
これらの分別、見極めが非常に重要であり、それらに応じた対処が必要です。
単なる風邪だと思って対処が遅くなればなるほどSOSを出している臓器は負担を重ねていきます。
原因をはっきりさせれば、これらの多くは鍼治療でも改善させることが可能です。
もし、なかなか治らない咳でお悩みの方がいらっしゃれば、是非一度こざくら鍼灸院までご連絡ください。
ご相談だけでも承っております!