抗生物質で太る?!
患者様が「風邪をひいて太った!」とおっしゃっていました。詳しく聞くと抗生物質を服用されたようで・・・。
「結構そういう方、多いですよー」と答えると、「食欲も落ちて、あまり食べられなかったのになんで!?」と不思議そうにしていらっしゃいました。
その時に説明させていただいた内容を今日は載せたいと思います。
その患者様にも同じ前置きをしたのですが、
「ものすごーーーーーく簡単に」、そのメカニズムを紹介してみようと思います。
風邪をひいた際によく処方される抗生物質ですが、実は悪い菌だけでなく良い菌も殺してしまいます。良い菌というのは腸内細菌などの常在菌と呼ばれる体に必要不可欠な菌群のことです。これらにも甚大な被害を及ぼしてしまいます。
ただし、すべての菌を殺せるわけではなく、常在菌の一部にはそういった薬剤に耐性や抵抗力を持っている菌群もいます。
それらの菌群は脂肪を蓄える作用を持ったものが多いため、抗生物質の服用後は体重が増加しやすくなります。
なぜこのような傾向があるのかというと、生物の歴史は飢えとの戦いの歴史であり、糖や脂肪の備蓄は最優先事項だったからです。
そのため、脂肪を蓄える菌群も必然的に外的要因に強いものである必要があったのです。
ですから、抗生物質服用後に腸内細菌のバランスが脂肪を蓄えるのに適した環境になり、体重が増加してしまうわけです。
同じものを食べても、腸内細菌のバランス次第で脂肪のつき方、体重の増え方が異なってしまうのです。
食欲が落ちて、普段より食事量が減ったにもかかわらず、体重が増えてしまった原因はここにあったのではないかと考えられます。
これらの研究は実は動物実験でも確認されており、また家畜産業では既に応用され、牛や豚などの「感染症予防」と「脂肪分、体重の早期増加」を目的とした抗生物質の投与が行われています。
ちなみに、風邪の原因の多くはウイルス性であり、細菌性ではありません。ウイルスは細菌とは異なる非生物群に属するため抗生物質は効果がありませんのであしからず。