東洋医学と西洋医学の違い
先日、施術中に患者様からこんな質問を頂きました。
「東洋医学と西洋医学って何がどう違うんですか?どっちがいいんですか?」
うーん、確かに。よくわからないですよね。その時に話した内容を掲載しようと思います。
何が違うのかということは後ほどしっかり説明するとして、良し悪しに関してはどちらにも良いところと悪いところがあり、どちらかだけが優れているというものではありません。
双方の特性を理解し、今の自分の症状や状況にあった方を選択していただければと思います。
では、西洋医学と東洋医学の違いについて述べていこうと思います。
西洋医学とは欧米において発展した医学を指します。現代医学などとも呼ばれ、一般的な病院はこれに当てはまります。
東洋医学は東洋起源の伝統医学を指します。一般的に鍼灸医学と漢方医学(東アジアの伝統医学)を合わせて東洋医学と言いますが、東南アジアの伝統医学であるアーユルヴェーダ医学(インド医学)を含めることもあります。
なので、鍼灸院である当院は東洋医学を軸として治療を行っています。
双方の医学ではそもそも、学問としてのベースが違います。
西洋医学は学問としてのベースが分析学です。
ですので、部位・臓腑・細胞や果ては遺伝子に至るまで細分化しその形態や機能の研究がなされています。それぞれの形態や機能を単一的なものとし、機械論的に人体を把握しています。
内科、外科、循環器科、耳鼻科・・・など科目も細分化されていますよね。専門分野に特化する形になっています。
東洋医学のベースは哲学です。
自然界の物質や現象を人体に当てはめ、人体を把握しています。宇宙を「大宇宙」と呼ぶのに対し人体を「小宇宙」と呼ぶ所以がここにあります。人体を分解できない統一体として総合的に把握しています。
鍼灸院に科目分けがなく、かついろいろな病気に対応しているのはこのためです。
このように、学問としてのベースが異なるため、健康や病気、その治療法に対する考え方も当然異なります。
小難しい話でしたね笑。
治療方針の違いを車の修理に例えてこの考え方の違いがどの様に影響しているのかを説明してみたいと思います。
例えば、車のエンジンがオーバーヒートしてしまったとします。
西洋医学的な修理の仕方はオーバーヒート(症状)を起こしたエンジン(病巣)そのものの修理や交換(手術や移植)をし、エンジンを冷やす添加液(薬)を処方してくれます。
一方、東洋医学的な修理の仕方はエンジン(病巣)そのものだけでなく、ラジエターの状況や運転状況、車の保管環境や季節(影響している別の要因)等も考慮し必要であればエンジン以外の修理もするなど、車全体の状態を把握し、オーバーヒートが起こった原因をエンジン(病巣)以外にも追求します。
こう書くと、東洋医学の方がしっかり見てくれるんじゃないか?と思われてしまいますね。私自身が東洋医学を軸に治療を行っているので、若干贔屓もあるかもしれませんが、このように全体的な体調管理は東洋医学の強みではないかと思います。
ただ、例えば、転倒して頭から大出血を起こしている時に悠長に「転倒の原因は足の筋力が弱いからだ!」と病巣以外の原因を追求されても「はぁ?それより早く止血してくれよ!」って話ですよね。こういった緊急事態においては明らかに西洋医学が強いと思います。
いかがだったでしょうか?西洋医学と東洋医学ではこのような違いがあります。
それぞれに良し悪しがあります。
今の体調や求めている健康像に応じて使い分けていただければと思います。